学生の頃【首かざり】を、読みました。

その頃は、世間知らずで、人間の心理・心の奥の深さには全く気が付かず、ただ、読んだと言うだけでした。
改めて「再読」しますと、主人公(マティルド・ロワゼル)物語全体を通して心・気持ちの変化に気が付きました。
垢ぬけのした美しい娘(マティルド・ロワゼル)虚栄心が強い(マティルド・ロワゼル)
安月給取りの家庭に生まれた(マティルド・ロワゼル)身の丈のあった生活をしていれば、ここまで人生を狂わす事もなかったのに!
文部省の小役人だが、優しい理解のある旦那と結婚出来た事、それだけでも幸せだと思えなかった(マティルド・ロワゼル)
事件は、夫が苦労して手に入れた『大臣主催の宴会の招待状』から始まります。
友達(フォレスチェ夫人)から借りた【首かざり】を失くしてしまった事からです。
本当の「ダイヤ」と思いマティルド・ロワゼルは恐ろしく巨額の負債を返すため、屋根裏に間借りをして切り詰めた生活を始めます。
バラ色の爪も台なしにし、長屋のおかみさん風情の格好で買い物袋をぶらさげ、そのつど、値切っては苦しい財布から一銭でも守り、、苦しい生活は十年間続けられ、とうとう借金も利息も全て返し終えることができたのです。
優しい夫と共に借金返済を済ませ、2人で頑張って目標達成出来たことは、夫婦としてなお更〔絆]も深まってきたと思う。
息抜きにシャンゼリゼを、散歩していると友達(フォレスチェ夫人)に会いました。
フォレスチェ夫人が『私のは模造品だったのよ。せいぜい5百フランくらいのものだったのよ。』
この、言葉にマティルド・ロワゼルは、今までの十年間は何だったのだろうか?考えられずにはいられなかったと思う。
私は、マティルド・ロワゼルの十年間の堪え忍んだ日々を、考えてしまいました。
家事もやり、当然骨格も確りし、皮膚もゴワゴワになり、身なりも気にならなくなって、強く逞しくなってしまったマティルド・ロワゼル!
私は、最後の結末を【人生の皮肉と、はかなさ】と感じてしまいました。
ちょとした弾みから一変する事もあるのが人生。
マティルド・ロワゼルは人としては、大きく成長はしたが、この十年の苦労は耐え難く一体何だったのだろうか?と
私は、自分に置き換えて考えてしまいました。
『もしも彼女があの首かざりをなくさなかったら、どんなことになっていたろう?たれぞ知る?たれぞ知る?なんと人生はへんてこで、気まぐれなものだろう!なんと些細なことから、ひと一人が浮かんだり、沈んだりすることだろう』 モ-パッサンの言葉

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