【舞姫】森鴎外を、読んだ感想!

~【舞姫】森鴎外の文壇処女作となった短編小説です。

1890年(明治23年)11月に(国民の友)という雑誌に掲戴

されました。

実体験を、もとにした短編小説です。~

~【舞姫】は、内容が、高度に出来上がっている作品なので

私にとって、難易度が高く、分かりにくく、何度も読み返しました~。

~エリ-ト官僚が 『エリス恋人』を、とるのか

 『自分の出世』をとるのかを、迫られるお話です。~

【舞姫】の登場人物を、詳しく書きます。

太田豊太郎(おおたとよたろう)

主人公。

エリスの恋人。

幼い頃から、しつけの厳しい家に育ち父を早くに失いました。

しかし、賢い母の配慮によって学問にはげみ、

19歳で東大法学部を主席で卒業しました。

直ぐに、官僚になりました。

22歳の時、ドイツのベルリンへ留学して、エリスに出会ったのは25歳前後。

語学能力を天方伯爵に認められ、

一緒に、日本に帰ることになります。

エリス・ワィゲルト(えりす・わいげると)

ヒロイン。ヴィクトリア座の踊り子。

17歳の頃、クロステルの古寺の門にすがって泣いていました。

貧しさゆえに、父の葬式も出すこともできないとのことで、

豊太郎が3マルクの銀貨と時計を与えました。

それが、きっかけで、2人は恋焦がれる仲になりました。

明治21年の冬、豊太郎の子を妊娠をしますが

日本に帰る豊太郎に裏切られたと思い、絶望し発狂するようになります。

相沢謙吉(あいざわけんきち)

豊太郎の大学時代の同級性。

天方の秘書官。

豊太郎が、役所の仕事をクビになった時、

新聞社の仕事を紹介しました。

豊太郎の能力を見込んで天方伯爵に推薦もしました。

天方伯(あまがたはく)

伯爵。大臣。

豊太郎にドイツ語翻訳の仕事をさせるうち、

その能力を評価するようになり、

結局、豊太郎を連れて日本に帰国することになります。

《あらすじと要約》

話は、豊太郎がドイツで過ごしたことを、回想する形で

話は進んでいきます。

豊太郎は、幼い頃から厳しい家庭教育を受けてきました。

十九歳で早くも学士の称号を受けるなど、

優秀な成績を修めていたのです。

長官からドイツに行くように命ぜられました。

豊太郎はベルリンに来て三年が経ち、

ベルリンの大学の自由な空気に触れているうちに、

母が《生きた辞書》にしようと、

長官は《生きた法律》に豊太郎をしているのではないかと思い、

自分の意志は、法律の勉強より歴史や文学に心を寄せるようになりました。

ある日の夕暮れ時、経済的に困っている《エリス》と出会います。

やがて、《エリス》との交際は長官の耳に入り豊太郎は職を失ってしまいます。

この頃には、豊太郎と、《エリス》は離れがたい恋仲になっていました。

そんな時、豊太郎に救いの手を差し伸べたのが

豊太郎と同じ時期にドイツに渡った相沢謙吉です。

相沢謙吉から

「語学の才能を活かして、大臣の信用を得ることが、名誉を回復する手だてである。

そのためには、意を決して《エリス》との関係を断つべきである。」

と忠告されます。

《エリス》は、明治二十一年に冬妊娠したことが分かります。

しかし、《エリス》に別れ話を告げられないまま時は流れていきます。

ついに、豊太郎に「日本への帰国の話」がもち上がります。

日本に帰国すれば一度は失った「名誉」を取り戻すことが出来、

「出世」ということも見えてきます。

豊太郎は、《エリスとの愛情》

《自分の出世》

どちらを、選ぶか 思い悩み 思い沈み、《帰国を承諾する》ことにしました。

雪にまみれながら、家にたどり着いた豊太郎は、

そのまま倒れ高熱をだして寝込んでしまいます。

数週間後、豊太郎が目を覚ますと、変わり果てた《エリス》の姿でした。

相沢謙吉からから、事情を聞かされた《エリス》は、

治療の見込みのない精神の病を負ってしまったのです。

まるで、生きる屍のようになってしまった《エリス》。

豊太郎の愛を、信じている《エリス》に、

最終的には《エリス》を残し、豊太郎は《自分の出世》を、選びました。

相沢謙吉はすばらしい友人に違いありません。

しかし豊太郎の心には、わずかばかり彼を憎む気持ちが

今日まで残っているのです。

〈私の思い〉

~豊太郎の愛を信じている《エリス》を捨てさる豊太郎の心境は、

はかり知れないものだと思います。

豊太郎は、今まで培ってきた努力と名誉も、

無駄にはしたくはないと思う気持ちも、あったと思います。

まして、《エリス》が妊娠していることを考えると、

私が豊太郎だとしたら《エリス》を捨てることは

難しい選択に突き当たると考えてしまいました。

まして明治時代にハ-フの赤ちゃんは、

父親のいない人生を歩んでいくとなると、大変なことだと思わずにはいられません。~

〈森鴎外〉の本名は〈林太郎〉です。

東大医学部を卒業した後、陸軍軍医総監にまで上りました。

医学部の第一戦で働くかたわら、文学にも積極的に取り組みました。

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