【変身】と言うタイトルに引かれて読んでみて、何とも言えない寂しさ・虚しさのようなものを感じてしまった。”(-“”-)”
真面目な外交販売員として働いているグレ-ゴル・ザムザが、ある朝、
何か気がかりな夢から自宅で目を覚ますと、自分が巨大な醜い褐色の虫に【変身】している事に気が付く。
人の言葉を喋る事も、体を自由に動かす事も、出来なくなっている。
親の借金の返済のために外交販売員という辛気くさい商売を、続け惨めな一店員から人並み以上の努力で、
外交販売員にのし上がってきて、一家を支え大黒柱までになれたのに。
父・母は商売に失敗して働かず、妹(グレ-テ)はヴァイオリンがとても上手で、
大の音楽好きで、来年には音楽学校に入れてあげたいと願って頑張っている。
グレ-ゴルが巨大な醜い褐色の虫に【変身】してしまったとは・・・。
【変身】してからは、同居する家族からも邪魔者扱いにされているグレ-ゴ-ル。
妹だけは、グレ-ゴルの世話を続けてきたが、次第にグレ-ゴルに不満と共に怒りを覚えてしまう。
グレゴ-ルは、父親の投げたりんごが原因で体の自由を奪われ、遂には死んでしまう。
【変身】は今の時代を物語っているのでは、ないかと思ってしまった。
グレ-ゴルは身も心も激務に耐え、両親の借金の返済のために歯を食いしばって働いてきた。
グレ-ゴルが巨大な醜い褐色の虫に変わってしまった途端、介護というより排除の方向に向かってしまった家族。
父親が投げたりんごが背中に食い込みグレ-ゴルの背中は遂に腐ってしまった。
そのうち痩せてしからびて死んでしまったグレ-ゴル。
煩わしい、面倒な邪魔者は、いなくなった方がいいと思うようになってしまった家族。
グレ-ゴ-ルが、死んで、先の事をザムザ夫妻は考えると、私達3人の将来はそう悪いものではない事に気が付き始めた。
働き始めた3人の職業は恵まれており、家族3人の将来も有望だし、明るい未来があると確信するようになった。
娘グレ-テは美しい可憐な女性に成長し、ザムザ夫妻の目には新しい夢が膨らんでいくように見えだした。
私は、【変身】カフカを読み、どんな思いで【変身】を書いたのだろうかと、考えずには入られない。
カフカは巨大な醜い褐色の虫を自分に置き換えているのではないだろうか。
家族との対立、不満、職業などのいら立ちなど、多くのものを抱え込んで【変身】に自分を置き換えているように思えてならない。

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