【外套】この本は不思議と年に3回位はに読みたくなってしまう。
多分、私にとっては大好きな本だと思う。

理由は分からないけれど主人公の〔アカ-キイ・アカ-キェヴィッチ〕の生きざまに心酔してしまったのかも知れない。
〔アカ-キィ・アカ-キェヴィッチ〕と言う面白い名前も好きになった要因だと思う。
感情豊かに、喜怒哀楽、そして正直に生きる彼に、私は『親しみと憧れ』を持ってしまった。
初めて【外套】を、読んだ時、心が微妙に動かされた感覚が忘れられない。
【外套】の主人公は〔アカ-キイ・アカ-キェヴィッチ]という、いささか面白い奇妙な名前の下級役人がいた。
とうに、50の坂をこしている中年男である。
〔アカ-キイ・アカ-キェヴィッチ]は独身で小柄で、額の禿げあがった
見てくれも全く風采の上がらない風貌である。
〔アカ-キイ・アカ-キェヴィッチ〕の仕事は、役所の文書係として写生の仕事を,
ただひたすら書類を書き写すだけの仕事を、彼は熱意を持って真面目に何十年以上もこなしていた。
彼にはこの写字という仕事の中に千変万化の、愉しい一種の世界が見えて彼の顔にはいつも悦びの色が浮かんでいた。
同僚からはいつも嘲笑を受け、からかわれても冷やかされても、彼、平穏に、心安らかに暮らしてた。
〔アカ-キイ・アカ-キェヴィッチ〕は、北国の厳しい寒さのベテルブルグで、
継ぎはぎだらけの外套を着てると、同僚達からは≪半纏≫とよばれ、嘲笑の的になり余りにも見苦しいものだった。
もう、外套としての用はとうに果たさなくなり、覚悟を決めて思い切って、仕立て屋ペトロ-ヴィッチの所に行き、
全財産をはたき、足りない分は毎日の生活費を切り詰めてあてがう事にした。
やっとの思いで新いし外套を新調出来た喜び!
役所では〔アカ-キィ・アカ-ヴィッチ〕の外套を、見に同僚達が押しかける騒ぎになった。
皆が褒めたたえ、ある上司の屋敷で夜会が催される事になり、仕事が終わって上司の家に着き
〔アカ-キイ・アカ-キェヴィッチ〕の姿をみつけると、皆が歓声を上げて外套を同僚達が品定めとなり、皆に褒められ、[アカ-キイ・アカ-ヴィッチ〕は喜ばずにはいられない。
ホロ酔い気分で上司の家から自分の家に向かう途中事件は起きた。
外套の襟を立て外套の温かさで、上機嫌での帰り道、暗い通りで二人の大男にに外套を剥ぎ取られ
必死に抵抗したが転倒をして知覚を失ってしまう。
明くる日〔アカ-キイ・アカ-キェヴィッチ〕は、外套を取り戻そうと、必死で警察署長や役所の有力者に陳情に行きましたが見下され、逆に怒鳴りつけられ相手にもされない。
失意の中、彼は吹きすさぶ吹雪の中を、よろよろと歩いて家に帰ると心労も重なり、扁桃腺を冒されて寝込んでしまい高熱にうかされて、遂に、息を引き取ってしまった。
〔アカ-キイ・アカ-キェヴィッチ〕が死んで間もなく、夜な夜な役人の格好をした幽霊があらわれるようになり、酷寒の町ベテルグじゅうに道ゆく人々の外套を、追いかけ剥ぎ取りその幽霊こそが〔アカ-キイ・アカ-キェヴィッチ〕であった。
いつぞやの高慢ちきな有力者があらわれると、今までの恨みと怨念とで彼の外套を奪った途端、幽霊はあらわれなくなった。
私は、〔アカ-キイ・アカ-キェヴィッチ〕がとても人間的で可愛く思えてならない。
新しい外套を作る資金のために、彼の節約は計り知れないもの。
もちろん、夜は、ロソクを灯さず、歩くときは靴底を擦り減らないように歩き、なるべく下着も洗濯せず空腹にも耐える生活を送る日々。
これをさかいに、彼の心はまるで、ふっくらと厚く綿を入れた、着崩れのしない丈夫な裏を付けた新調の外套を思い、結婚でもしたか、誰か愉快な伴侶と生活しているかのように≪ときめ≫と満たされた思いで暮らす。
外套が出来上がった時の〔アカ-キィ・アカ-キェヴィツチ〕の、喜び、嬉しさは、天にも昇る思いだった。
何度も何度も、込み上げる内心の感情と、高まりと、満足から、にやりにやりと笑いを漏らしたり.・・・・・。
なんと、正直で可愛くて人間的な〔アカ-キイ・アカ-キェヴィッチ〕
私は微笑ましく愛おしく抱きしめたくなってしまった。
自分なりの幸せを〔アカ-キイ・アカ-キェヴィッチ〕は常に感じながら生きてきたと思う。
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