【走れメロス】太宰治を読んだ感想!

【走れメロス】は、昭和15年(1940年)の五月に「新潮」誌上に発表されました。

モチ-フになったのは、ドイツの詩人であるシラ-(1759-1805)の「人質」という

詩を元に作られました。

~【走れメロス】は、青春文学です。~

~命を、かけて守らなければならない崇高な友情、そして人を信じることの尊さ。~

~主人公メロス と セリヌンティウスの友情を通して人間の感情を描いた作品です。~

《あらすじ》

メロスは、村の牧人です。

単純ですが、とても正義感の強い青年です。

メロスは、妹の結婚式を挙げるため、シクラスの町へ買い物に来ました。

すると、シクラスの町はひっそりしていました。

二年前は、夜でも皆、歌を歌って町は賑やかであったはずなのに。

メロスは、町の人から王様は、「人を、信じる事ができぬ。」

それで「人を、殺します。」と、いう事を聞きメロスは、激怒しました。

メロスは、単純な男です。

のそのそと、王城に入って行きました。

メロスの懐中からは短剣が出てきたので、騒ぎが大きくなり王の前に引き出されました。

メロスは、王に「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。

王は、民の忠義をさえ疑って居られる。」と、言い放しました。

そうして、処刑が、確定したメロスは、王に「私は約束をまもります。私を、三日間だけ

許して下さい。たった一人の妹に、村で結婚式を挙げさせ、必ずここへ帰って来ます。

そんなに私を信じられないのならば、この市にセリヌンティウスという石工がいます。

私の無二の友人を人質として、私が三日の日没まで、帰って来なかったら友人を、絞め殺し

て下さい。」

人間不信の王は、メロスが無二の友を裏切って逃げるのも、また見ものだと思い

これを、承諾しました。

メロスは、無二の友に一切の事情語り、無二の友は無言でうなずき、
メロスをひしと抱きしめました。.

メロスはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで村へ到着しました。

メロスは、よろよろ歩き出し、家に帰って神々の祭壇を飾り
祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまいました。

眼が覚め直ぐ花婿の家を、訪れました。

「事情があるから、結婚式を、明日にしてくれ。」と、頼みましたが、

花婿は、驚き中々承諾してくれず「こちらには、なんの用意もしていない。葡萄の季節」まで待ってくれ」と

答えましたが、メロスは、何とかやっと、どうにか花婿をなだめすかして、説き伏せました。

そして、真昼に結婚式は、行われました。
 

新郎、新婦の神々への祝宴が済んだころ、黒雲が空を覆い、
やがて車輪を流すような大雨となりました。

祝宴に列席していた村人たちも、不吉なものを感じましたがめいめい気持ちを引き立
て蒸し暑いのもこらえて、陽気に歌を歌い、手を打ち、祝宴は夜に、入って乱れ華やかになりました。
 

明日の、日没まで十分の時間があるので、メロスは羊小屋にもぐり込んで死んだように深く眠りました。

眼が覚めたのは、あくる日の薄明かりのころであり、身支度をして、雨中、矢のごとく走りました。

さらば、ふるさと。
若いメロスは辛く幾度か、立ちどまりそうになりました。

そろそろ全里程の半ばに到達したころ、メロスの足は、はたと、とまりました。

昨日の豪雨で、猛省一挙に橋は破壊されてしまいました。
 

メロスは川岸にうずくまり、男泣きに泣きました。

メロスは、覚悟しました。
泳ぎきるより、他にない。
 

(ざぶん〉と、流れに飛び込み百匹の大蛇のように、のた打ち荒れ狂う浪を相手に
必死の闘争を、開始ししました。

満身の力を腕に込めて押し流されつつも、見事、対岸の樹木にすがりつく事が出来ました。

陽は既に西に傾き、一刻といえども無駄には出来ません。

荒い呼吸を、しながら峠をのぼりきって、「ほっ」とした時、
突然、目の前に一隊の山賊が踊りでました。
 

王の命令できた山賊たちは、ものも言わず一斉に、こん棒をふりあげました。

メロスは三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙に一気に峠を駆け降りました。
 

流石に、疲労し灼熱の太陽が、かっと照り幾度となくめまいを感じ、

立ち上がる事が出来ず、天を仰いでくやし泣きに泣きました。

岩の裂目からこんこんと、何か小さく、ささやきながら清水が湧き出ていました。

メロスは、その泉に吸い込まれるように、身をかがめ水を両手で一口飲みました。

「ほう」と、長い溜息が出て、夢から覚めたような気がしました。

日没までには、まだ間があります。信頼に報いなければなりません。

今はただ、その一事です。

走れ!メロス。急げ!メロス。

遅れてはならぬ。
 

愛と誠の力を、今こそ知らせなければ。
 

風体なんか、どうでもいい。
メロスは、ほとんど裸体でありました。
 

呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が吹き出ました。
 

まだ、日は沈まぬ。メロスは走りました。

メロスは疾風の如く刑場に突入しました。

間に合いました。

セリヌンティウスは、はりつけの柱に縄を打たれて、徐々に釣り上げられていきます。

メロスは、精一杯叫びながら、ついにはりつけ台にのぼリ、

釣り上げていくセリヌンティウスの両足にかじりつきました。

二人は眼に涙を浮かべて、セリヌンティウスは、一度だけメロスはを疑ったことを白状し

メロスもまた一度だけ無二の友を、裏切りかけた事を白状します。
 

二人は力一杯、頬を一度だけ殴りあい、
「ありがとう、友よ。」
二人同時に言いあい、ひしひしと抱き合い、
それから嬉し泣きに、おいおい声を放して泣きました。

王(ディオニソス)は、
「おまえらの望みは叶ったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったのだ。

真実とは、決して空虚な妄想ではなかった。
どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」
 

どっと群衆の間に、歓声が起こりました。

「万歳、王様万歳」


ひとりの少女が、緋のマントをメロスに捧げました。

気を利かせた無二の友は
「メロス、君はまっぱだかじゃないか、
可愛い娘さんは、メロスの裸体を皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」

メロスは、ひどく赤面しました。


《私の感想》

~【走れメロス】は、走る、走る、走る、言葉のテンポが見事に調和しています。~

~友情のすばらしいさ、信じることの大切さ、走る先の希望など

 分かりやすく書かれています。~

~王様・メロス・セリヌンティウス、など人間の感情も豊かに書かれています。

 村の牧人だったメロスが、市を救い、勇者になったことの物語でもあります。~

✫シラクス(シラクサ)は、イタリアのシチリア島にある町で
 現在もイタリアに存在しています。

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