
《わたしの 読書感想》
バンビと言うとディズニ-アニメの可愛いバンビを想像してしまいますが、比較にならない程厳しいお話です。
バンビを読み終えますと、考え深いものがありしばらくは(ぼんやり)と自分の生きてきた道のりとを考えてしまいました。
このバンビは正確にいえばノロジカです。バンビたちが、憧れと袰れをいだく親類の体の大きな種族がシカです。
この物語は、森にて雄のバンビが誕生する場面から始まります。

小鹿は、もう立ってよろめきながら細い足を踏ん張っています。
森で生まれたバンビは、仲間や様々な生き物たちとのかかわりながら学んでいきます。

全て、バンビの目線で描かれています。
成長、思春期の目覚め、恋、人間に遭遇したときの恐怖、別れ、自立、孤独などを通してノロジカへと成長していきます。

バンビを導いてきた古老がゆっくりと喋りました。
「自分で聞く、嗅ぐ、見る、自分で習うのだ」古老は、冠を頂いた頭を一層高くかかげました。
「元気でいろ」そう、言いました。そして消えていきました。
バンビもいつしか、森で一番の立派な角にかわっていきます。

古老が、バンビに
「今わしが向かっていくその時には、我々誰もが一人なのだ。では、さらばじゃ、わしの息子よ。わしはおまえがとても好きであった」
私は、自分との一生と重なり動物も、人間も、死ぬときは一人なのだと思わずにはいられませんでした。
印象に残っているのは,二枚の葉っぱの会話のシーンです。

秋も終わりに近づき二枚の葉は、どちらが先に落ちていくか、落ちたら、まだ何かを感じることが出来るかを話しています。
「お日さまが出ると、そして熱いほど照りつけると、わたしたち、元気いっぱいになって胸が張り裂けるかと思ったわね。
朝のあの露、そして穏やかな素敵な夜」
「わたしたち、泣き言を言っちゃ駄目よ。ほかの沢山の葉っぱより長生きしたんだもの」一枚目が言いました。
「あなた、生まれたときのように美しいのよ。あっちこっち黄色の筋があるけれど、ほとんど気にならないし、それが、あなたを綺麗にしているのよ」
「ありがとう」二枚目の葉が小声で言いました。
「あなたの言うことすっかり、信じられないけれど、いつも、わたしに良くしてくれたもの、それが今はじめて分かったの」

何時間も過ぎてゆき、湿った冷たい風が梢を吹きわたりました。
「ああ・・いま・・・」二枚目の葉っぱが言いました。
「・・・わたし・・・」そこで声が途切れて、自分の場所から解き放たれひらひらと落ちていきました。
葉っぱの命、何故か泣けてきます。
自然というもの、あらゆるものを、動かしたり、自然のいとなみ。わたしたちが活動する世界です。
【バンビ】の本は是非ご一読を、おすすめ致します。
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