
日本初回放送:1974年の作品。

ケーブルテレビで、改めて【刑事コロンボ《別れのワイン》】を観て
何とも言えない心に沁みる、味わい深い作品でした。

コロンボ・ファンの私は
最後の結末には、言葉では表せない切ない思い
人生の味わい深さを感じさせられました。
《簡単なあらすじ》
父の遺産のうち現金を相続した異母兄エイドリアン
ワイナリ-を相続した異母弟リック
エイドリアンは25年間ワイン作りに捧げてきた
品格のある初老の紳士。
エイドリアンの作るワインは、利益を度外視する高級ワイン。

リックは大手の量産酒造生産会社ワイナリ-を売却すると兄に告げに来た。
売る相手は、(安酒を作るマリノ酒造)だと、
エイドリアンは、
「お前と、同じ血が流れていると思うとゾッとする。」
リックは受け流す。
そして、
「結婚するので金がいる。父が死んでから、貴方は現金を、
僕は会社を、譲り受け、経営を貴方に任した。
でも貴方は損ばかり!」
エイドリアンは怒りに任せリックを電話機で殴り気絶させる。
残業している秘書カレンを帰らせる。
リックをワインセラ-に運びこみ手足を縛り上げると
崖に運んだ。
一週間後、リックは遺体となって発見された。
事故死と判断された。
その間、エイドリアンはニュ-ヨ-クでワインのオークションに
参加していたから疑われようがなかった。
しかしコロンボはリックの死亡推定時刻は雨だった。
雨の日にスキュ-バダイビングをするだろうか。
車好きのリックが高級車にホロもかけず放置するだろうか。
エイドリアンは必ず自分でワインを移し替えるのに、
その日は、協会の会員に任せた。(犯行直後で緊張して手が震えた。)
検視の結果リックの胃袋はカラだった。
リックは大食いだったのに、
などの理由からコロンボはを他殺を確信する。

もう一人、エイドリアンを疑っていたのが秘書のカレンだった。
秘書のカレンはコロンボに
「ワイナリ-からリックが出て行った。」のを見たと、
嘘の証言をした。
これで、コロンボはエイドリアンの疑惑犯人説を一時解くのだが。
エイドリアンは秘書のカレンに
「君は秘書以外の何物でもない」
とつきつける。
秘書のカレンがエイドリアンをかばった目的は他にあった。
エイドリアンの無罪を立証し、結婚し、
酒造生産会社ワイナリ-ごと頂くという計算。
ラスト刑事コロンボと別れのワイン(イタリアの極上の白のデザ-トワイン)を
飲み交わし、エイドリアンが
「秘書のカレンが真相を察知し、結婚を迫ってきた。女性は怖いですな。
結婚するより刑務所の方が自由かも。」
この言葉の重みにつくづく実感と思いがこみ上げてきてしまった。
エイドリアンのワイン作りの情熱と【別れのワイン】の作品の品格。
何回見ても味わい深く、切なさを感じてしまう最高の作品です。

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