
チェ-ホフは、1898年にクリミア半島にある、
保養地・ヤルタに家を建て、翌年に移り住んだ。
【犬を連れた奥さん】は、1899年にここで執筆された。

~【犬を連れた奥さん】は、誰もが知っているほど有名な作家だが、
恥ずかしいですが、私は【犬を連れた奥さん】題名しか知りませんでした。
読んでみますと、ダブル不倫というものなんでしょうね。
どんなに愛しても、結局、抜け道がないと言うか、出口がない、
人生の虚しさを感じてしまう。~
《あらすじ》
モスクワからヤルタに保養にきていたグ-ロフは、
そこで犬を連れた若い婦人と出会います。
彼女はアンナ・セルゲ-エヴナという名前でした。
ペテルグ育ちで、S市に嫁いで2年になります。
グ-ロフは、モスクワの銀行に勤める40前の男で
大学2年の時に早くも結婚させられたため
夫人と3人の子どもを持っていました。
夫人は、背が高く、眉の濃い、お堅い、もったいぶった、インテリで
自らをインテリと称していました。
そのせいか、グ-ロフは、家には居付かず、
他の女たちとの情交で気分を晴らしていました。
ただ、グ-ロフは、残念なことに、一度も恋をしたこともなければ
一度も人を愛したこともなかったのです。

グ-ロフとアンナは互いに惹かれ愛し合うようになります。
そんな、ある日アンナの夫から
眼病にかかったから早く帰宅して欲しいと手紙が届きます。
アンナは初めての浮気とグ-ロフを愛してしまった
切なさとで病人のように、悲しげで汽車が走り出す前に
「あなたのこと忘れないわ・・・・・いつも思い出すわ。」
涙ながらに話します。
グ-ロフは、「自分の人生に、またもや起こった情事も終わり、思い出だけが残った。」
と考え、寂しいがグ-ロフは、休暇を追え冬のモスクワの我が家に帰った。
しかし、1ヶ月以上立っても、
アンナとの別れは昨日のことのように感じられ
思い出はますます激しく燃え上がります。

日々の暮らしが無意味なものに感じられるようになり、
毎晩のように眠れなくなります。
12月の休暇が来ると、妻に嘘をついてグ-ロフは、
アンナのいるS市に行きます。
劇場でグ-ロフに会ったアンナは「息がとまりそう。本当にびっくりしたわ」
「忘れようと思っても・・・いつもあなたのことばかり考えて、あなたを思うことだけで生きてきたの。」
アンナは、「私がモスクワに行くから、今は帰って!」
それから、2ヶ月か3ヶ月に、1度の割で、
激しく愛し合う2人はモスクワのホテルでくり返されました。
それから、2人はこの先どうしたら、人目を忍ばずに会えるか
どうしたらこの耐え難いことから解放されるかと。
しかも2人には、はっきり分かっていたのだが、終わりまでは、まだまだ遠く、最も入り組んだ難しいところは
今ようやくはじまったばかりなのだ。

~本当に(不倫)人を愛してしまうと、全てが偽りになり、偽りの結婚生活、偽りの世間体、全てが偽りで
むなしく、遣る瀬無くなってしまう。
人を、愛すると全てが輝きこの世に生まれたこと、幸せが強烈な感覚になってしまう。
不倫は、むなしく、抜け道がない、人生の虚しさを感じてしまう。~

《作家紹介》
アントン・パ-ヴロヴィチ・チェ-ホフは、1860年南ロシアの黒海に面した港町タガログに生まれる。
父は雑貨商を営んでいたが、チェ-ホフが16歳のときに破産。
1879年、奨学金を得てモスクワ大学医学部に入学。
学業の一方で、厳しい生活を支えるため、
アント-シャ・チェ-ホンテの筆名で、雑誌にユーモア短編を寄稿するようになる。
1884年に医学部を卒業し、医師として立ったチェ-ホフだったが、文筆は続け、
医者の仕事に携わりながら、純度の高い中・短編や戯曲を次々生み出す。
1904年、結核の治療のため訪れていた。
ドイツのバーデンワイラ-で44歳の生涯をとじた。
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