【友情】武者小路実篤を、読んだ感想!

~【友情】この本は、学生の頃、夢中になった本です。

暗記するほど、読みました。

「三角関係」 〈杉子〉の一途な思い、学生の頃は、

共感出来、切なくなるほど私は胸が熱くなりました。

今は〈杉子〉の健全すぎる心と言うか、もう少し、女としての部分が、

今の私としては、もの足りなく感じてしまいました。

とても、(健全)な、(純粋)な、(三角関係)の本です。~

《あらすじ》

かけだしの脚本家、(野島)は、新進気鋭の小説家(大宮)と互いに尊敬し合い、

仕事に磨きをかけ、励んでいる。

仕事の方は(大宮)の方が上だが、(大宮)はいつも、(野島)を尊敬し勇気づけ応援している。

ある日、別の友人(仲田)に誘われた帝劇で、(仲田)の妹、16歳の(杉子)を一目見て、

清純な美貌に衝撃を受け、恋愛の経験のない(野島)は恋におちてしまう。

かたい絆で結ばれた友情の友(大宮)に、包み隠さず打ち明けると、(大宮)は、

親身になって(野島)の話を聞いた。

(野島)の心を知った(大宮)は、(杉子)と自分の従妹の(武子)は、同じ学校だから、

どんな人か聞いてくれることになった。

やがて、(大宮)は従妹の(武子)から、(杉子)のことは「大変ほめていたよ。

美しく、性質は無邪気で、快活で、一諸にいるとへんに人を愉快にさせる性質をもっている。」

(大宮)は(野島)に「うまく、いくといいいね。」と話した。

その後も、(野島)は(仲田)の家を訪ね、(杉子)への思いを募らせていきました。

夏休みに入ってからのこと。(仲田)の家で(大宮)の話になりました。

(杉子)が(大宮)の書いた作品を愛読していることや、

(大宮)を褒めていることなどを聞かされ、(野島)の胸の内は複雑な思いです。

(杉子)には誰よりも、自分を一番に尊敬してほしかったのです。

間もなく、(仲田)は(杉子)を連れて鎌倉の別荘に行き、

(大宮)も鎌倉に別荘があるので(野島)を誘い、そこで一諸に生活をし、

文学、人生、そして神や恋について、大いに語り合いました。

鎌倉には、(仲田)の別の友人(早川)も来てました。

皆で海に行った折、(杉子)が(早川)に泳ぎを「おしえて。」とせがみ

(早川)と(杉子)の無邪気な笑い声をあげている光景に、(野島)はいたたまれなくなり(大宮)の方に行きました。

(野島)は、(大宮)に「杉子は、早川を愛しているのだろうか。」と言う不安な心を(大宮)に話すと

「君は、君の持っている良さを充分に押し出せばいいのだ。」と(野島)に進言する。

ある日、(仲田)の別荘で、卓球大会が行われました。

(杉子)が何人も打ち負かし挑戦するものがいません。

(早川)が「野島君、どうです?」と声をかけますが、運動の苦手な(野島)は閉口していると、

「野島の代理に。」と、名のりを上げたのは(大宮)でした。

(大宮)は本気で(杉子)に球を打ち込みました。

皆、(大宮)のうまさに驚き、容赦がないのに、なお驚きました。

皆のピンポンは、女王のお相手をしているのなら(大宮)のは

獅子が、兎を殺すのに、全力をつかうと、言う風で、

あっという間に(大宮)が勝ってしまいました。

その翌日(大宮)は不意に「西洋に行きたくなった。」と(野島)に告げます。

9月末、(大宮)は外国に旅立つことになり、(野島)は横浜に見送りに行き、

そこで一生忘れられない光景を目にしたのです。

(杉子)が誰にも気がつかれない処に立って、気が付かれないように(大宮)を見つめていました。

(野島)は(杉子)の心が、すっかり分かったように思いました。

(大宮)が旅立って一年後、(野島)は(杉子)に結婚の申し込みをしましたが、

断られ絶望の淵に立たされます。

パリにいる、(大宮)とは手紙のやりとりがあり、(野島)は(大宮)に(杉子)との

結婚を断られてしまったことなど、ことの顛末を手紙で報告しました。

その頃から、(大宮)の手紙には(杉子)のことについて触れなくなりました。

一年が経ち、(杉子)と(武子)二人は、共に西洋に旅立ちました。

その、三、四カ月後、(野島)は(大宮)から妙な手紙を受け取ります。

「尊敬すべき、大いなる友よ。自分は君に謝罪しなければならない。

 すべては某同人雑誌に出した小説(?)をみてくれればわかる。

読んでくれと言えない。自分の告白だ。それで僕たちを裁いてくれ。」

その、小説とは(大宮)と(杉子)が抱き続けていた愛の思いを明かす切実な文章でした。

そこには(杉子)の強い思い、(大宮)との友情と恋に引き裂かれる苦しみ、

やがて、二人は結婚することも文章に綴られていました。

(野島)は、泣いて、感謝して、怒って、わめき、

そして(大宮)が送ってくれたベ-ト-ベンの石膏マスクを石に叩きつけました。

「傷ついても、いつかは、さらに強く起き上がるだろう。」と、返事を大宮に書きました。

「自分は淋しさを、やっとたえてきた。今後なお耐えなければならないのか、全く一人で。

神よ助けたまえ。」

 野島は泣きながら日記に書いた。

〈私の思い〉

~信じてればこそ、大宮は、野島に杉子との愛を、告白したと思います。

野島なら、失恋からきっと、立ち直ってくれると信じて、とのことだと思います。

私の思いは、大宮は、友情と引き換えに愛する人を得ましたが

野島は愛する人と友人を一度に失ってしまいました.。

人生は、〈明・暗〉を分けますが、〈暗〉の野島は、傷ついても、

更に力強く起き上がるしかないと、しか言えませんが。~

余談ですが、

学生の頃、【友情】の人物、(大宮)に夢中になって(惚れて)しまいました。

今、思うと、笑ってしまいますが、その頃の私は(杉子)になっていました。

武者小路実篤(1885~1976)

【友情】は、初期の代表作です。

大正八年(1919年)10月16日より12月21日まで

大阪毎日新聞の小説として連載されました。

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