【ハブの恩返し】(沖縄県)を、読んだ感想!

怖ろしい毒蛇のハブは、ときには神様そのものであります。神様の使いであったりします。

【ハブの恩返し】は、そのハブが人間への恩返しにハブ避(よ)けの呪文を授けるお話です。

(あらすじ)

昔から、沖縄では豆腐を作るときには海の水を使ったんですよ。だからね、ある晩、女の人が豆腐を作るために海へ潮水を汲みに行ったそうです
女の人は、海に行ってね、桶に潮水を汲むと、その桶を頭に乗せてね、家に帰ることにしたんです。
女の人が暗い夜道を帰る途中のことですよ。
パチパチ音が聞こえてきたから、その音のする方を見ると、近くのアダン林から煙が上がり、その煙の下では勢いよくアダンの枯れ葉が燃えていたんです。

「火事だ。大変だ。今のうちに火を消さないと大火事になる」女の人は、急いでアダン林に行ってみたんです。すると、盛んに燃える炎のまん中にとても大きなハブがいてね、そのハブは、すっかり炎に囲まれているからもう逃げることができないようだったのです。

いつもなら噛(か)まれたら命がないから恐ろしいハブだけど、火に囲まれて動けなくなっているハブを見るとね、かわいそうになったから、「さあ、助けてやるからね。これからは悪いことをしたらだめよ」女の人は、頭に乗せていた桶の潮水をね、ザザッ、アダンの林にかけて火を消したそうですよ。

女の人は、もう一度浜に下りてね、潮水を汲んできて、またそのアダンの林を通りかかったときは、もうハブはおりませんでした。その女の人がある日赤ん坊を連れて畑に芋を掘りに行きました。
畦道(あぜみち)に赤ん坊を置いて芋を掘っていると、どうしたのか赤ん坊が泣いてばかりいました。女の人はそばに行って、よしよしと抱いてあやしてやると、赤ん坊は泣き止みました。だけど、また芋を掘り始めると・・・・・。
女の人は仕事がはかどらないので困ったから、もうしかたがないと赤ん坊が泣いても、かまわず芋を掘っていると、いつのまにやら赤ん坊の泣き声が止みました。それどころか、畦にいる赤ん坊はニコニコと笑っていました。

「まあ、どうしたんでしょう?さっきまで、あんなに泣いていたのに、今度は一人で機嫌よく笑ったりして」女の人が赤ん坊のところに戻ってみると、気絶しそうになるほど驚きました。

赤ん坊のそばには、大きなハブがおりました。
だから、女の人はもう大変あわててね、ハブを追い払う棒を探しましたが、棒は見つかりません。
もうどうしょうかと、女の人が途方に暮れているとね、赤ん坊がまた楽しそうに笑ったので、もう一度よく見ると、なんと赤ん坊はハブの首をギュッとつかんでいて、ハブの尻尾(しっぽ)が赤ん坊の目の前で揺れるたびに笑い声を上げていたのです。

「まあ、あのハブは・・・・・火事のときの」そのハブは、あのアダンの林で助けてやったハブでした。だから、女の人は、
「ああ、助けてやったハブが、赤ん坊のお守(も)りをしていたんだね」女の人は、驚いて見ていると、ハブが急に人間の言葉を話したそうですよ。
「この前のご恩返しに、ハブに嚙まれないまじないを教えてあげましょう。もしハブに出会ったり、ハブがいそうなところを通るときはね、一息で«潮汲みの子孫だよ。水汲みの子孫だよ。上の道を通ったら下の道を通れ、下の道を通ったら上の道を通れ。ジュホー、ジュホ—≫と三回言ってください。そうすれば、決して噛まれないでしょう」
女の人は、それからはね、どんなハブが多いところでもハブに噛まれなかったそうだよ。ハブの首はね、このときの赤ん坊に強くつかまれたから、細くなっているんだってよ。

《わたしの 感想》

ハブは、どうしても怖いというイメ-ジがあります。
【ハブの恩返し】は、心あたたまるお話です。
ハブは、都会では怖いと思ってしまいます。沖縄の自然の環境では、ハブも育ちやすく、また良い面も悪い面もあります。ハブは、ネズミを好んで食べます。ネズミのいるところにハブはいるといわれています。

                        

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