【弓の名人と化け物」(岐阜県)ふるさと昔話を、読んだ感想!

【弓の名人と化け物】は化け物退治のお話です。

《 あらすじ 》

昔昔、あるところに弓を引くのが上手な若者がいました。
若者はたいそう弓を引くのが好きで、片時も離さずそばにおいていました。

その日も、若者は弓を持って散歩に出かけました。
ある村を通りかかると、どうしたことか、村人たちが暗い顏をしてなにやらヒソヒソと話をしていました。

「どうしたのです。何かあったのですか?」
不思議に思った若者が尋(たず)ねると、村人の一人が話しました。
「実は、この村には化け物がいるんだ。そいつは村中の大事なものをあさっては、ごっそり持っていってしまう。このごろでは杜(もり)の奥にある社(やしろ)にあれを供えとけ、これを供えとけと言うようになって、毎晩出てきてはそれをぜんぶさらっていくんだ。その上、今夜は、若い娘を差し出せと言ってきた。だからどうしたらよかろうかと相談していたところなんだ」
また、他の村人が沈んだ声で言いました。
「うちにも一人、娘がいるが、化け物にささげるなんてとんでもない。何とかしたいが、なんせ相手は化け物だ。私らでは、とてもかなうもんではない」
若者は村人たちの話を聞くと、持っていた弓を見せて言いました。
「そうか。それなら娘さんの変わりにおれが行って、この弓で化け物を射止めて来よう」

その夜若者は、若い娘の恰好(かっこう)をして、いつも化け物が出てくるという杜の奥にある社に、たった一人で出かけていきました。

そして社の横の藪(やぶ)の中に隠れ、化け物が出てくるのを待ちました。
あたりは生ぬるい風が吹いています。
やがて丑三(うしみ)つ時になると杜も奥から、どっどっどっどぉーという地響きとともに二つの光ったものが近づいてきました。
「こいつが化け物だな。よしっ」
すかさず若者は、二つの光の真ん中を狙(ねら)って弓を引きました。

「うっうっうっ」
矢が化け物にに当たると、低い唸(うな)り声が聞こえて、化け物はすごい勢いで杜の奥へと逃げていきました。
明くる日、若者は化け物を射止めたところへ行ってみました。
すると、そこは一面血の海になっていて、一本の血の道が杜の奥へとずっと続いています。
若者が辿(たど)って行くと、血の道は山奥の洞穴(ほらあな)へとつながていました。
中からはうんうんと唸るような声がします。
若者が洞穴をのぞくと、昨日の晩に見た二つの光るものがありました。

近づいて見ると光っていたのは化け物の目で、額には矢の傷があり、そこから血が流れていました。
若者が、
「どうしてお前はそんなに悪いことをするのか」
と聞きました。
すると化け物は、額の傷が痛そうに顏をゆがめながら言いました。
「あの村では、節分のお祝いをしないから悪いのだ。節分にはまずお供えをしてお祝いをしなければならないものだ」
若者が、
「それじゃあ、節分のお祝いをすればもう悪いことはしないか」
と言うと
「ああ、節分さえ祝ってくれればもう悪いことはしないよ」
と化け物は答えました。
若者は村へ帰ると村人たちに、一部始終を話しました。

村人たちが節分のお祝いをするようになると、それからもう村に化け物が出るようなことはなくなり、村人たちは平和にくらしたそうです。

《 わたしお感想 》

弓の名人若者のお話です。
弓の技と勇気が強調されています。
地方ならではの物語です。

コメント