【赤毛のアン】ルーシ-・モード・モンゴメリをよんだ感想!

【赤毛のアン】は、大人になって、改めて読みますと、

マシュ-、マリラ、兄妹(きょうだい)のアンに対する気持ち、

心情、また心ある人々の思いが、よく理解できます。

孤児院(こじいん)にいた赤毛で、そばかすだらけの

アン・シャ-リ-の成長と自分の人生を、切り開く物語です。

★ ①赤毛のアンという女の子(アンの身の上)

《あらすじ》

舞台は、カナダ東部セント・ローレンス湾にある

プリンス・エドワ-ド島。

マシュ-・クスパ-トとマリラ兄妹(きょうだい)は、

果樹園と農家の仕事が年老いて辛くなり、孤児院から

十一歳くらいの男の子を育てることにしました。

六月の初め、その男の子が、プライト・リバ-の駅に来る日

マシュはくり毛の馬に馬車を引かせて、よそゆきのいっちょうらを、

着こんで上きげんで、駅まで迎えに行きました。

しかし待っていたのは女の子です。

年の頃は十一くらいです。

黄ばんだ白い綿と毛のまぜ織の服はそまつで、

小さくきゅうくつそうです。

色あせた茶色の水兵帽の下から、おそろしく赤い髪の毛を

二すじおさげにして背中にたらしています。

顏はやせて、小さくて白く、そばかすだらけでした。

口は大きく、目もひどく大きくって、これは光の具合や

本人の気分で緑色になったり灰色になったりします。

女の子はマシュ-が近づくと、古ぼけた旅行かばんをにぎって

さっと立ち上がり困り果てるマシユ-に女の子は構わず、

とてもきれいなよく澄んだ声で

「アン、シャ-リ-」と名乗りました。

駅に置いて行く訳にもいかず、アンを家に連れて帰ることにしました。

アンは空想とロマンチックなものが大好きなので豊かな自然を気に入り

到着するまでのあいだおそろしくおしゃべりで、ずっと口を動かしていました。

実はマシュ-は自分でも驚いたことに、この娘のおしゃべりを

聞くのがとても楽しくなっていたのです。

無口な人にかぎって、よくこういうことがあるものです。

グリ-ンゲイブルズは、アンが住むことになるカスパ-ト家の屋号であり、

「緑の切妻屋根」では、マリラが首を長くして待っていました。

しかしアンを見て「マシュ-、どうしたのです。男の子はどこにいるのです。」

マシュ-は内気で自己主張をあまりしないのですが、アンを気に入っていました。

厳格なマリラは男の子に畑仕事を手伝わせるつもりでいたので、女の子では困ると

言いアンを孤児院に送り返すつもりでいます。

翌日、早めの昼食をすませ、アんを、孤児院にかえさせなければならないので、

マリラは馬車の中でアンをの生い立ちを聞きました。

両親は、高校の先生で、アンが三か月のとき母親は熱病で亡くなり父親は

その四日後亡くなりました。

皆、困って知り合いのおばさんが、アンにミルクを飲ませてくれて、

アンは四人の子どもの達の面倒をみていました。

アンが八つになったとき、知り合いのおばさんの(亭主)酔っぱらいの

おじさんが死んでしまいました。

アンを引き取る人がなく同情して、知り合いのおばさんに引き取られました。

子守が出来るということで八人の子どもの世話をしていましたが、

そのうち六人がふたごで、二年余りそこにいましたが

今度は、叔母さんが亡くなってしまいました。

そしてアンはホープタウンの孤児院にあずけられたのです。

四か月、孤児院にいて、少しだけ学校に行きました。

マリラは、アンをあわれに思う心が芽ばえはじめていました。

アンのこれから先のことを、話さなければならないので、

スペンサ-夫人の家に行き、アンのことを話すと、

「男の子と言ったのに、何かの手違いで・・・」と、

すると、このときブル-エットの奥様が到着して三人でアンのことを

話し始めました。

マリラは、アンを見ますと押し黙ったまま、真っ青になっていました。

(全身でうったえている、この子どもの手をはなしたら、自分は一生

後悔するだろう。)

マリラは、口を開き「今度のゆきちがいを、どうして起こったかを、

伺いにまいったのでございます。アンは、わたくしどもで育てることに

決まったと、ご承知くださいませ。よろしゅうございますか。」

アンは表にでるなりかくしきれぬ喜びに目を輝かせて、マリラに

すがりつくばかりです。

夕方二人が、グリ-ン・ゲイブルスに帰るとマシュ-が小道の所まで

迎えに出ていました。

マリラは、マッシュ-に「なんだか、あの子を育てるのが自分の義務の

ような気がしてきたの。」

「そうかい。おまえもきっとそう考えると思っていたよ。

あの子は、本当におもしろい子だからな。」

内気なマシュ-は顏を輝かせて言いました。

ずっと、風邪をひいて引きこもっていたレイチェル・リンド夫人が

グリ-ンゲイブルズにあらわれました。

レイチェル夫人は、マリラの大の仲良しです。

「マリラア、あなたのうちのことで、実はびっくりする話を聞いたんだけど。」

「子どもを育てた経験のないあなたが、これからどういうことになるかも・・・

分かっていないんでしょう。いえ、これはあなたをくじけさせるために

言っているんではありません。」

まもなく、アンが駆け込んで来ました。

見知らぬ人の顏を見て、はっとドアのところに立ち止りました。

レイチェル夫人は上から下までながめて、遠慮会釈なく言いました。

「そう、器量でひろわれたのではないことだけは確かね、マリラ。

たいそうなやせぽっちで、おそまつな、ごめんそうじゃないの。

これ、ちょっとおまえ、ここにきて、よく見せてごらん。まあなんて

ひどい、そばかす。それに髪ったら、まるでニンジンじゃないか。」

レイチェル・リンド夫人は歯にきぬきせぬ、このような言い方をするのを、

かえって自慢しているお人よしの夫人でした。

アンは顏は怒(いか)りにもえ唇は震え、

頭の先から足の先まで体をわなわなと震わせて、

そして足を踏み鳴らし叫びました。

「あんたなんか、大きらい。大きらい。大きらい。よくもわたしのことを

やせぽちで、おそまつなんて言ったわね。そばかすだらけで赤毛だって

言ったわね。あんたこそ、やばんで、礼儀知らずで、思いやりの

心がひとかけらもない人です。」

「アン」と、マリラが動転して叫びました。

アンは泣きながらドアに走り、家が震えるような音を立ててしめると、

つむじ風のように二階に駆け上がりました。

レイチェル夫人は「あんな者を育てるなんて、あなたもご苦労なことね。」

マリラは、お詫びの言葉もございませんというつもりで口を開きましたが、

でてきたのはべつの言葉でした。

「あの子の姿をからかったのがいけなかったのよ。」

「マリラ・カスパ-ト。あなたまさか、あんなひどいかんしゃくをおこした子を

弁護しようっていうんじゃないでしょうね。」

「今までしつけというものをされたことがないのだから、まあ、大目に

見てやらなくってはね。レイチェル、あなたもちょっと手きびしすぎたわよ。」

マリラは自分でも驚いたのですが、最後の言葉を加えずにはいられ

なかったのです。

レイチェル夫人は、ひどく名誉をきずつけられた顏で立ち上がりました。

「これから自分の言うことに気をつけます。孤児の気持ちを傷つけないようにね。

十人育てて二人死なせた母親の言葉を聞いていただければね。

まったく、赤毛にぴったりの気性の子ね。マリラ、うちには今までどおり訪ねて

きてくださいよ。わたしは、暫くこちらにはきませんから。本当によい経験を

しました。」

アンは、寝台にうつ伏せになって激しく泣いていました。

「リンドの奥さんが、あんたのことを赤毛でおそまつだといったくらいで

どうしてあんなに暴れなければいけなかったのか、わたしにはとんとわからないね。

あんたいつも自分のことを自分でそう言っているじゃないか。」

「だって、自分がいうのと、人が言うのを聞くんじゃ大違いなんだもの。」

と、アンは泣きわめきました。

ふいにマリラは思いだしました。

まだ、小さな子どもの頃ですが、自分の

叔母の一人が、べつの叔母に「この子、なんて色が黒くって

みっともないでしょう。かわいそうにねえ。」

その、悔しさはそれから五十年、一日たっても忘れませんでした。

マリラは、すてきな罰を思いつきました。

「リンドの奥さんのところに行って『のぼせてしまって、大変悪うございました。

どうぞ許して下さい』と言ってあやまりなさい。」

「それだけは出来ません。かんにんして。」

アンは、かたくなに言いはりました。

その晩、マリラはマシュ-に何も話さずにすごしましたが、次の日の朝に

なるとアンが朝食にこない訳を言わないわけにはいかなくなりました。

話を聞いたマシュ-は、

「リンドの奥さんにはいい薬だよ。金棒ひきのばあさんだからな。」

と、言いました。

マリラは、朝食も昼食も夕食も二階に運びましたがほとんど手が

ついてないぼんをはもってくるのでした

マシュ-は、マリラが裏の牧場に出かけるのを見定めた上で

ぬき足、さし足、どろぼうのように二階のアンの部屋の前に、近づいた

マシュ-はドアをたたいて中を覗きこみました。

「ところで、アン、早いところ片づけてしまったらどうだい。どうせ、いつかは

やらなくちゃならないんだ。マリラはいったん決めたら、

変えるような女じゃないからね。早いところやっつけて、さっぱりした方が

よくはないかい。」

「リンドの叔母様にお詫びせよっていうの?」

「まあね。つまり、ことをまるくおさめてしまおぅって言うことだよ。」

「それが、おじ様のためならできるような気がするわ。

今は、すっかりおさまって。おじ様がそうせよと、おっしゃるなら、

なんでもしてみるつもりよ。」

「おまえが、おりてこないと、わしは、ひどく寂しくってな。」

「マリラがきたら、わたし後悔しているって言います。」

マシュ-はことが、あまりにうまく運んだのでびっくりしながら牧場の

方に逃げて行きました。

マリラと、アンは日暮れ近く、二人は家を出ました。

マリラは勝ち誇ったように、真っ直ぐ背をのばし、アンは、うなだれて

とぼとぼついて行きました。

ところが、途中まで来るとアンの足どりは急にかるくなり、顏を

輝かせはじめました。

これは、罪を詫びに行く子どもの姿ではありません。

「アン何を考えているの。」マリラがするどい声でたずねました。

するとアンは夢みるように応えたのです。

「リンドのおば様にお詫びする言葉を考えているのよ。」

リンド夫人の家につくと、たちまちアンは別人のようになりました。

リンド夫人の前にひざまずくなり、アンは両手を、さし伸ばして

言いはじめたのです。

「おば様、わたし、本当にとてもいけないことをいたしました。

申し訳ない気持ちでございます。

おば様には失礼なことを言い、大恩あるマシュ-とマリラには、恥ずかしい

思いをさせました。男の子でもないのにグリ-ン・ゲイブルズにおいてもらい

ながら、こんなことをするなんて、本当に恩知らずの悪い子です。

おば様のおっしゃったことは全部本当でした。わたしの髪の毛の赤いことだって、

やせっぽちで醜いことだって、みんな本当なんです。それなのに、わたしは

のぼせあがって、かんしゃくをおこしました。

本当に間違っていました。

わたしが、おば様に言ったことも嘘ではなかったけれど、でも、それは

言ってはいけないことでした。

おば様、もし許してくださらなかったら死ぬまで深い悲しみに閉ざされて

しまうでしょう。

どうぞどうぞ、許すとおっしゃって。お願いです。」

アンは両手をにぎりしめ、頭をさげて、リンド夫人の言葉を待ったのです。

アンの謝罪には真心があふれていました。

マリラもリンド夫人もそれはよくわかりました。

マリラだけが感じた妙なことがありました。

それは、アンが、わが身をおとしめる自分の言葉に酔って

いることでした。

「さあ、お立ちよ、アン、もちろん許してあげますとも。」

少しばかりおせっかいすぎるだけで、人のいい、親切なリンド夫人は、

すっかりアンの謝り方が気にいって、今までの怒りなど煙のように

消えていました。

ル-シ-・モード・モンゴメリ

1874年カナダのプリンス・エドワ-ド島に

生まれる。

《私の感想》

アンの持ち前の素直な性格、決断力、実行力

夢みがちな心

【私は、赤毛のアン】のとりこ、になってしまいました。

次回は、★②ダイアナとの友情です。

コメント